【ファンタジー小話 #2】レガリアになっている武器 イギリス編
このブログでも言いましたが、わたくし10月頭にアキレス腱断裂のケガを負いまして、手術はしなかったので未だに松葉杖生活を続けております。
娘と縄跳びをしているときにブチッっと…
普段運動などもしておらず平均以上に太っているクセに準備運動もせず二重跳びなんかするからこうなるのです。当然の帰結です。
……私小さいころ縄跳び得意だったんですよね。
縄跳びが得意だという自尊心を抱えたまま大人になると30過ぎたころにアキレス腱を切る羽目になります。
皆さん気を付けましょう。
はい。
という事で(?)今回のファンタジー小話は武器の話をしましょう、武器!
みなさん「レガリア」って知ってますか?
今回はレガリアになっている武器の話。
興味のある方は続きをどうぞ。
レガリアとは?
レガリアとは、王権を象徴し、それを保有することがすなわち正当なる王である証となるような物品の事を言います。
つまり日本でいうところの三種の神器ですね。
そういうものは外国にもあって、中には武器がレガリアとなっている、またはなっていた国がいくつかあります。
例えば既に動画で解説済みですが、中世フランスのシャルルマーニュ伝説に端を発するジョワユーズ。
フランス王国ではジョワユーズが王権の象徴として代々受け継がれており、1271年にフィリップ3世戴冠式で初めて使用されたと記録されています。(1179年にフィリップ2世の戴冠式で使用されている可能性もあるそうです。)
なおルーブル美術館で保管される前は、パリのサンドニ大聖堂にて専用の宝物庫に入れられ、厳重に保管されていたそうです。
当時の戴冠式ってどんな感じだったのでしょうか?一般の人は…多分見れなかったんじゃないでしょうか?
だとすれば、この剣を見たことがあるという人は大衆ではほぼ0、王族関係者や有力者の中でもほんの一握りだった、という可能性もありそうですね。
…というか日本だって草薙剣を見たことある人は居ませんからね。
皇居にあるとされる形代の方の写真ですら一般には公開されていません。
王権の象徴なんてものは普通見れるものではないですよ。
なんですが、実は割と簡単に見れる国があります。
その国とは、イギリスです。
イギリスのレガリアについて
イギリスには、英語でCrown Jewels、日本語で戴冠宝器という、レガリアや過去の戴冠式の際に使われた道具類として全141点か142点からなる品々が王室に伝わっています。(なぜ曖昧なのかは後述します。)
うち王冠を含む数点については、使われていない時はジュエルハウスという施設で一般に公開されているそうで、撮影禁止ではあるものの観光客も見ることができるようです。
話を戻して、このだいたい142点からなるの道具類の中には、剣が5本か6本有るようです。
…いや王室に伝わってるものなのになんでそんな曖昧なのよ、と思われた方もいらっしゃるかと思います。
私もこの戴冠宝器の事を詳しく知りたくて、イギリス王室のHPもジュエルハウスのHPも見てみました。
でもこれらのHPには点数書いていないと思います…
じゃあ論拠としては微妙だけどWikiにはどう書いてあるんだと見ましたら、に日本語wikiだと141点、英語wikiだと142点とありました。
なお英語wikiにはどんな品が何点あると具体的に書いてあるので一見するとこちらの方が信ぴょう性が高そうに見えるんですが、よくよく読むと剣が6本あると書いてある割には5本分の説明しかありません。
というか結構いろんなHP見て回りましたが、剣については5本分の説明しか確認できませんでした。
ちょっとコレでは結論が出せません。これ以上は本などを漁らないとたぶん解らないですねぇ…
まあこの記事のコンセプトはファンタジー小話なのでこれ以上は勘弁してください…
論拠のない完全な私見になりますが、全142点で剣は6本だけど名前が有るのは5本って事なんじゃないかなと個人的には思っています。
戴冠宝器には皿が30点近く、secular plateという軽くググってもよく解らないけどたぶん食器っぽい物もこれまた30点近く有り、固有名詞がつけられていない品々も結構ありそうなんですよね。
なので剣にも1本だけ名前付いてなくてもまあ不思議じゃないんじゃないかなと。
レガリアになっている剣
…さて、今度こそ話を剣の方に戻しましょう。
名前の確認できた5本の剣、それぞれこんな名前がついています。
・Sword of Spiritual Justice(霊界の正義の剣)
・Sword of Temporal Justice(俗界の正義の剣)
・Sword of Mercy(慈悲の剣)
・Jewelled Sword of Offering(献納された宝剣)
・Sword of State(国の剣)
なお日本語訳の方についてはできるだけカッコよく訳そうとした結果なので、本来のニュアンスから若干乖離している可能性が有ります。
この中で特に古いものが上3つで、1610年から1620年ごろにかけて作られたものだとされています。
特に赤字で示した慈悲の剣については更に古いルーツを持っている様で、一説によるとアーサー王物語に登場する円卓の騎士の一人、トリスタンの剣であるという説もあるそうです。
アーサー王物語や、トリスタンを主人公とする恋愛詩であるトリスタンとイゾルデにおいて、トリスタンは同じく円卓の騎士の一人であるマーハウス(マロース、モロルド、マーホールト、モルオルトなどとも)と決闘しこれを打ち破っていますが、その際に彼の剣の先端が欠けてしまうというエピソードが伝わっています。
したがってイギリス王室に伝わる慈悲の剣も、先端が約2.5cm欠けています。
なおシャルルマーニュ伝説に登場するオジェ・ル・ダノワという人物も剣先の欠けた剣を持っており、カーテナ、クルタナ、コルタナなどという名前がついていたそうです。
なんでもそちらの剣、復讐を成そうとしてたオジェの前に大天使ミカエルが現れてその剣を折り、慈悲は復習に勝ると告げたという伝説があるそうで。
「慈悲の剣」という名前もこのエピソードが由来になっているそうです。
…なんですが、この辺りのエピソードが軽く調べただけでは随分とフワフワしておりまして…w
それぞれの関連性というか、どういう地続きになっているのか、そもそも地続きなっていないのか、その辺りが解らないんです。
軽く調べた程度では、Sowrd of Mercyはオジェの剣と同じとも読めましたし、オジェの剣から名前だけ持ってきた別のものという風にも読めました。
そもそもオジェとミカエルのエピソードについても、ネットで語られているものを拾ってきただけにすぎず、原文の参照が出来ておりません。
La Chevalerie Ogier de Danemarcheってやつみたいなんですが、英語訳も見つけられなくて…
更に付け加えると、散文のトリスタンという文献では、トリスタンの剣→折れる→オジェが承継してカーテナと名付ける、と記されているらしく、そうなるとミカエルのエピソードは何??となってしまいます。
更に更に、剣自体は11世紀前半ごろの人物であるエドワード懺悔王のものという説もあります。
…なんか全然まとまって無いですねw
この辺りをまとめるにはやはり図書館に行って調べて…という作業が必要になりそうです。
続きは動画で…と、お約束するのは無責任になってしまうかもしれないので、今は「またの機会に」という形にさせて頂きます。
因みに、タイトルに「イギリス編」と入っている事からも分かる通り、他の国にある「レガリアになっている武器」の話も予定しておりますので、そちらもお楽しみに。
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