ファンタジーと馬とアレとアレ

制作活動ブログの皮を被った趣味ブログです。

【ファンタジー小話 #5】雷を操る法術の話

ファンタジー小話、第5回目でございます。

 

前回のレガリアの話、投稿した後に思ったんですが、コレ別にファンタジーって感じじゃねぇなと…

天使が授けたみたいな描写はありましたけど、ファンタジー要素としては弱い気がする…

 

という訳で今回は「コレぞファンタジー!」って感じの話をします。

ファンタジーと言えば魔法ですが、それに近いものとして法術っていうのも有りますよね?

今回はその中でも一際強力な雷を操る法術の話。

興味がございましたら是非続きをどうぞ。

 

 

そもそも法術って…

そもそも法術と魔法の違いって何でしょう…?

魔法は魔力、つまり自分の中にあるエネルギーを使って行使するのに対し、法術は神や仏の力を使って行使するものだと思います。たぶん。

少なくともこれから説明する雷の法術は、中国の道教における神々の力を借りているのは間違いなさそう。

その名も「五雷法」と言いまして、「五雷正法」「五雷天心正法」と言ったりもするそうです。

「天心法」「天心正法」という法術も、時折雷法と区別される時は有りますが、一般的には同一のものとみなされます。

 

「五雷」については正直よく解りません…

ただこの言葉が意図するところとしては、雷というのは天の中でも中核的なエネルギーであって、天数=運命的にその数字は「五」であるって事…らしいですw

まあ要は雷の力ってすげーッ!って思っておいて良いんじゃないでしょうか…

そんな雷をつかさどっている最高位の神格が九天応元雷声普化天尊

普化天尊は五雷を統括する立場にあるので、五雷法とは普化天尊の力を借りて行使する雷の法術、といって良いんじゃないでしょうか?

 

雷法に限らず法術は、道教において経典に記されるほど神聖な技であるようです。

現に道教の経典をまとめたものである道蔵には、法術に関する書物がいくつも納められています。

その中でも有名な法術の書として「道法会元」「上清霊宝大法」という物が有ります。

そのほか雷法に関するものですと、「雷法議玄篇」「貫斗忠孝五雷武候秘法」「太上説青玄雷令法行因地妙経」など。

天心法に関するものなら、「上清天心正法」「上清北極天心正法」「天心正法修真道場設醮儀」などなど…

そもそも道蔵は全5485巻からなる書物群なので、法術に関するものだけでも膨大な量が有ります。

その中でも一時期雷法は異端の技として見られていた向きもある様ですが…この辺の話は小話でまとめるにはハードルが高すぎるので置いておきます。置かせてくださいお願いします…

因みに、この膨大な量の道蔵を全て見る事が出来るサイトが存在します。

善書圖書館

ただしテキスト化されておらず全てスキャンデータの様で…当然中国語なので全く読むことが出来ません…

仙人になりてぇという人は是非チャレンジしてみてください。

 

豊富なバリエーション

雷の力と言うと非常に強力なイメージが有りますよね。

実際五雷法も強力は法術ですが、敵と対峙する場面のみならず、使いこなせば様々な場面で活躍できる技なのです。

最もポピュラーな技は雷を呼び起こすもの、つまり「召雷」です。

古くは晋の時代に記された書物である「神仙伝」にて、劉憑という仙人が雷を起こして相手を卒倒させたとの記述があります。因みにこの相手は自分の従弟と土地を巡ってモメていたので、それに激怒した末の行動だそうです。なんか俗っぽいな…

もう一つのポピューラーな技は、雷雲を呼んで行う「雨ごい」です。

南唐の時代に記された「続仙伝」という書物には、足を踏み鳴らす事で雷を轟かせる術を持つ葉千詔という仙人が登場し、この技を使って雨ごいを行ったとのこと。

召雷と雨ごいは様々な書物に見られ、この際に掌に雷を集めて(または掴んで)行う雷法については、「掌心雷(しょうしんらい)」と言ったりもします。

 

よりファンタジーな感じで五雷法を使役するシーンもあります。

有名な封神演義より、主人公の太公望こと姜氏牙は、五雷正法を駆使し「雷火交加、一聲響(雷と炎が入り交じり轟音が響く)」という状況を作り出し、「吃吾一劍(我が一太刀を受けよ)」と凄むシーンが有ります。

結局敵の命乞いを受けて技は中断されましたが、わざわざ「劍」という字を使っているあたり、単に雷を降らせるというよりは、剣か斬撃を模した雷を放つ感じの技なのかもしれませんね。

 

また雷法により呼び出されるのは雷だけではありません。

これまた有名な西遊記では、召喚魔法的な雷法が登場します。

これを使役するのは虎力大仙という虎の仙人。

三蔵法師一行と雨ごいの術比べで対決するのですが、この際虎力大仙は五雷法を用いて、普化天尊の部下である「鄧天君・雷公・雷母」を呼び出しています。

つまるところここでの雷法は、普化天尊に対して雷神の派遣を要請する術、という感じでしょうか。

なお肝心の雨ごい勝負は、天候を操る神々に脅しをかけた上で龍神に根回しまでしていた悟空が勝ちます。雷神が派遣されてるのに雨ごい勝負で勝つって、原作西遊記の悟空マジで強すぎ…w

 

更に更に、解呪法としての雷法も有ります。

今まで紹介した文献と比較すると一気に近代の例となりますが、18世紀後半ごろに銭泳という人物によって記された書物「履園叢話」より。

ある人物が、鬼怪に祟られ痴呆症になってしまい、コレに困った家族が張真人という仙人に相談したところ、仙人が「天火雷」という符を貼った壷に鬼怪を封印したところ、たちまち痴呆が治ったという話が記されています。

このように雷法には邪悪なものに対する特効という面もあり、西遊記と並び中国四大奇書の一つに数えられる金瓶梅には、天心五雷正法によりどんな祟りでも退治してしまうという潘道士なる人物が登場します。

 

まあざっとこんなところでしょうか?

今回コレを書くにあたって参考にした資料がコチラ。

※リンク先はPDFのダウンロードになっています。

『雷神信仰と雷法の発展』

 

もう少し肉付けしていけば動画化できそうな密度ですね…

松葉杖は取れましたが、まだ図書館まで行くのはちょっとシンドイのですが…

そろそろ動画も作りたいなぁなんて思ってはいます。

 

動画の準備が出来たらこのブログやTwitterで発信を行いますので、ゆるくご期待頂けますと幸甚です。

 

 

                       

 

どれか一つでもクリックすると管理人が泣いて喜ぶリンク群

↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

PVアクセスランキング にほんブログ村
にほんブログ村 競馬ブログへにほんブログ村 ネットブログ 自作動画へにほんブログ村 その他趣味ブログへ